ウクライナ国立科学アカデミー人口学・社会学研究所のエラ・リバノワ所長=2024年11月7日、キーウ、藤原学思撮影

 ロシアによる全面侵攻を受け、ウクライナの人口が著しく減っています。難民として国外へ出る市民が多いことなどが理由です。人口動態をめぐる現状と対策について、ウクライナ国立科学アカデミー人口学・社会学研究所のエラ・リバノワ所長に聞きました。

 ――正確な把握は難しいと思いますが、ウクライナにはいま、何人が暮らしているのでしょうか。

 我々は半年に1度、推計値を出していますが、今年半ばの時点で「3100万人」としています。

 ただ、これはウクライナ政府の支配下にある領土を対象にしたもので、ロシアに一時的に占領されている領土の人口は含まれていません。

 (1991年8月に独立した後の)1993年1月の時点で、ウクライナの人口は5200万人でした。それから比べると、大幅に減っていることがわかります。

 ――30年余りで、2100万人減ですね。

 前提として、ウクライナでは93年以降、人口の自然減が著しく、日本と同様に高齢化が進んできました。また、たとえばドイツのように自然減を移民で補うことはできず、逆にウクライナを離れる人たちが減少につながっていきました。

 2014年の人口は4500万人でした。ただ、この年を機に大幅に減りました。これは東部ドネツク州とクリミア半島という大規模の人口密集地、東部ルハンスク州という中規模の人口密集地の統制をウクライナが失ったからです。

■合計特殊出生率は「1.0以…

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