堂々と枝葉を張る、あかしあ台のニセアカシア並木。植えられた後、「侵略的外来種」になった=2024年6月25日、兵庫県三田市、鈴木智之撮影

 兵庫県三田(さんだ)市の住宅街「あかしあ台」。緩やかな坂道に、豊かな緑を蓄えた広葉樹が堂々と並ぶ。

 その名も「ニセアカシア」。「ニセ」とはいえ、明治期に本来のアカシアより先に日本に導入され、「アカシアの蜂蜜」でも知られる木だ。

 しかし、一部が「セイヨウシナノキ」の若木に植え替えられて、なくなった。何があったのか。

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人口増加率トップを走ったベッドタウン

 三田市は、関西のベッドタウンとしても知られ、1980年代以降のニュータウン開発に合わせて人口が急増。87年からは10 年連続で人口増加率が日本一になった。

 87年に入居が始まったあかしあ台では、ニセアカシアが1.6キロの区間に300本以上植えられた。北米原産、マメ科の落葉高木で、5~6月には房状の白い花を垂れ下げ、芳香が漂う。

 住民の奥村芳和さん(76)は、91年の自治会広報誌で「アカシア」に対するこんな思いを記していた。

 「『あかしあ台』という地名に親しみを感じる。外来種の樹木アカシアがノスタルジックなエキゾチシズムを感じさせてくれるからだろうか」

 ただ、突風で花をつけた枝が折れる被害があったと書き留めている。「将来を憂えずにいられなくなる」「何とかして立派に成長させてやりたい」

伐採計画に賛否、いったん白紙に

 そのニセアカシアに転換点が訪れたのは、2018年。市は一部区間の本数を半分に間引きする伐採計画を明らかにした。

 市側は、台風が来たとき、枝…

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