アイヌの人たちへの差別や偏見をみんなで考える一歩にしようと、北海道は道民意識調査のテーマにアイヌ民族を取り上げる。北海道に暮らす人たちから調査を始め、対象を全国へと広げていきたい考えだ。
10日の定例会見で鈴木直道知事が明らかにした。現在、実施中の今年度の道民意識調査のテーマの一つにアイヌ民族を取り上げ、身近で差別や偏見を見聞きしたことがあるか、施行から5年になるアイヌ施策推進法を知っているか、などを尋ねる。
アイヌの人たちへの差別については、9日に公開された「北海道アイヌ生活実態調査」でアンケートに答えた人の約3割がこの3~4年に差別された経験があると回答。最も多かったのがSNSへの書き込みだった。
7月にあった国のアイヌ施策推進会議で、全国的な意識調査の実施を訴えた鈴木知事は「アイヌの方々に対するいわれの無い差別や偏見があることが改めてわかった」とした上で、「SNSによる差別、誹謗(ひぼう)中傷などは、全国の方々が正しく理解していない中で行われている可能性がある」と国全体で取り組む必要性を訴えた。
道民意識調査は、道が毎年度実施しており、無作為で選んだ18歳以上の道民1500人に道政課題への考えを聞き、施策に反映している。2023年度の調査では、食育・食品ロス、DV、少子化、環境、北方領土などについて尋ね、790人(52.7%)から回答を得た。(長谷川潤)