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養父市のコイ料理復活プロジェクトで、コイ料理を作る学生たち=兵庫県養父市提供

 かつてコイの養殖が盛んだった兵庫県養父市で、コイ料理をきっかけにした地域活性化を目指す京都産業大学のゼミによる「やぶの鯉(こい)再生プロジェクト『かえって鯉‼』」が、クラウドファンディングで資金を募っている。コイ料理をパウチ製品化し、地域経済の活性化につなげたいとしている。

 プロジェクトは、経営学部の上元亘准教授(サービス・マーケティング論)のゼミが昨年6月に始めた。養父市出身の3年生中道公太さんが提案した。

 養父市は江戸時代から養蚕が盛んで、蚕はコイの餌になっていた。宿場町の旅館からの注文もあって食用のコイが養殖され、昭和初期からは観賞用の養殖も栄えたが、2004年に流行したコイヘルペスなどで廃業が相次ぎ、廃れてしまった。

 中道さんらゼミ生7人は昨年、地域住民と協力して、コイのフライをおにぎりの具にした新メニュー「おにぎらず」と「伝統の鯉こく(みそ汁)」を考案。11月に養父神社であった「やぶもみじまつり」に出店すると好評で、約340食を提供した。

 今年度はコイ料理のパウチ製品化を目指す。現在はイタリアンシェフの協力も得られて試作品を開発中だ。

 クラウドファンディングの募集期間は今月24日までで、目標金額は150万円。返礼品は「やぶ市観光協会」を通じて地元企業が協力。養父市特産の朝倉山椒(さんしょう)を使った加工品や、但馬牛などを使った手作りハンバーグのほか、イタリアンシェフ監修の「鯉のパウチ」などを用意している。

 ゼミ生は「コイ料理に新たな価値を加え、次世代に文化をつなぎ、養父市の鯉食文化を守り抜きたい。しかし学生だけでは実現が難しい活動です。皆さまのご支援をお願いします」と訴えている。支援金は材料費やパッケージ作成費、広告宣伝費などに充てるという。

 上元准教授は「学生にとっては一つの事業を立ち上げ、成功にもっていくベンチャービジネスの経験にもなる。学生の思いが詰まったパウチ食品を全国の多くの方に味わってもらえれば。養父市に行けばコイのパウチを買って帰る、というようになれば御の字です」と話す。(菱山出)

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