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デジタル化が進んで、事業者と消費者の間の技術力の圧倒的な差から生じる問題が大きくなっている

メディア空間考 大村美香

 「主にデジタル空間で生じる消費者問題は、もはや消費者自身では未然に防ぐことが困難」。消費者が守られていないと端的に示すこのフレーズに驚きを感じた。内閣府消費者委員会の「消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会」報告書の概要に目を通していた時のことだ。

 フィッシング、サポート詐欺、偽サイト、副業や投資といったSNS広告をきっかけとする問題。手口が巧妙になって消費者の力では避けられなくなっている。インターネット取引では、相手が所在不明や連絡不能になったり、契約当時の広告や相手とのやりとりなどが残っていなかったりで、被害回復が難しい場合も多い。

 全国の消費生活相談件数を販売方法・手口別にみると、2023年度の1位はインターネット通販で全体の2割を占める。2位の定期購入も、主には化粧品や健康食品などのインターネット通販での契約に関するものが目立つ。

 消費生活がデジタル空間に主…

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