現在の穂別博物館で展示中のカムイサウルス・ジャポニクス(むかわ竜)の全身骨格標本のレプリカ。約3メートルある尾が展示されていない=2024年4月19日、北海道むかわ町穂別、松本英仁撮影
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 北海道むかわ町穂別地域で老朽化した町立博物館の建て替え事業が住民と町の協働で進んでいる。穂別は、「カムイサウルス・ジャポニクス(むかわ竜)」の化石が眠っていた場所で、同館では国内発掘恐竜で最大の全身骨格標本を展示している。現在の手狭な展示室で窮屈な思いをするむかわ竜の「新居」を名実ともに日本一の施設に生まれ変わらせようと、限られた予算のなかで知恵を絞る日々だ。

尾の部分取り外され迫力伝わらず

 現在の博物館でも展示の目玉は、もちろん地域で出土し、新種新属とわかったむかわ竜の全身骨格標本だ。年間2万人前後が訪れるが、全長約8メートルの標本は、今の展示室に入りきらず、仕方なく尾の部分が取り外され、大きさや迫力が実感しにくい。

 町の計画では、現在の博物館も利用し、その北側に新しい博物館などを建設する。2018年9月に発生した北海道胆振東部地震の復旧・復興を優先するため、新博物館構想はいったん棚上げにもなったが、町は新博物館を中心に温浴施設を併設した施設を穂別地域の復興の象徴と位置づけている。

 むかわ竜は、19年に東京・上野で開かれた恐竜博でも展示の目玉となり、87日間で延べ67万8977人の入場記録を打ち立てた。新博物館では、むかわ竜の魅力を伝えられる工夫が満載だ。

「恐竜マニア」も満足できる

 発掘された本物の化石は、「…

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