紬(左)と林聖美さんとプリン(右)。仲良しにしか見えない=茨城県行方市

 犬には吠(ほ)えられ、猫にはそっぽを向かれ、馬には……。

 生きもの大好き。でも、生きものには好かれない。記者(58歳、男)には幼い頃の、おぼろげな記憶の断片がある。ふわっと目線が高くなり、視界が鮮やかに開ける。眼前に緑の草原。だが、突然の暗転。そこから記憶がない。

 物心ついて親に尋ねると、「ああ、ポニーから落っこちたんだよ、観光牧場で。振り落とされて頭を打って」。忌まわしき記憶は、無意識に忘却の彼方(かなた)に追いやるものらしい。 「どうすればトラウマを克服し、生きもの(ヒトを含む)に愛されますか?」と思い悩む記者が訪れたのが、茨城県行方(なめがた)市の「PONY PLUS」だ。

あの記憶を払拭できるか

 北浦近くの田園地帯で、こぢんまりした馬囲いがあるのを除けば普通の古い民家。主宰者の林聖美さん(40)は馬2頭、山羊(やぎ)2頭、犬2匹、鶏2羽と暮らしながら、乗馬体験や生きものとのふれあいをマンツーマンで提供している。ストレス解消や癒やし、運動効果を求める人たちが県内外から訪れる。イベントなどへの出張もする。

 馬に乗って野や山を巡る外乗…

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