「朝日地球会議2024」セッションから
脱炭素社会の実現やSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、建材に木を使う「木造ビル」が注目されている。
「対話でさぐる 共生の未来」をメインテーマに10月下旬に開かれた「朝日地球会議2024」のセッション「つながる都市と森 木造ビルが変える日本」では、三菱地所の森下喜隆さんと三井不動産の室谷拓さん、「都市木造」の第一人者・東京大学教授の腰原幹雄さんが登壇。現在地や課題を語り合った。
- 朝日地球会議2024 視聴申し込みはこちらから(12月31日まで)
森下さんは、三菱地所が手がけてきた木造建築のうち、上層階を木造、下層階を鉄筋コンクリート造のハイブリッドにした11階建ての札幌市のホテルなどの事例を紹介。「ディベロッパーの使命は快適な空間や街をつくること。木を使うなかでその本質を意識していきたい」と語った。
室谷さんは、三井不動産が東京・日本橋で1月に着工した18階建て、高さ約84メートルの木造賃貸オフィスビルを紹介した。
同社が北海道に持つ森の木も一部に使い、最新の耐火技術を導入する。木を感じられる内装にするといい、「行きたくなるオフィスをつくりたい」と述べた。
腰原さんは近年、木造ビルが増えてきた背景として、2000年の建築基準法改正を経て、耐火・耐震の技術開発が進んだと指摘。「都市は森から様々な恩恵を受けている。都市が森にできる貢献の一つが建築に木を使うことだ」と木造ビルに取り組む意義を語った。
腰原さんは今後の課題として、「どういう建物を木造にしたいか、技術とコストをふまえてどう実現していくかを、皆で考えていく必要がある」と述べた。そのうえで、「都市により楽しい木造建築が増えていくよう、皆さんも新しい木造空間を楽しみ、応援してほしい」と呼びかけた。(コーディネーター・竹山栄太郎)