35年前まで、福島県いわき市の内郷地区に「クリスマスはこの味」と親しまれた精肉店の名物オリジナルチキン「ヒナモモ」があった。会社員となった店主の長男が、懐かしむ地域の人たちの願いをかなえようと、きょうだいの記憶を頼りに試行錯誤して、「思い出の味」を復活させた。
内郷御厩(みまや)町にあった「荒井精肉店」は、コロッケやスコッチエッグなど手作りの揚げ物も評判の店だった。ヒナモモはクリスマス限定の骨付き鶏もも肉で、約20年も受注販売していた。店主の荒井弘さん独自の味付けが人気で、クリスマスの2日間に約400本も売れていた。
だが1989年の12月25…