提携を発表したかんぽ生命保険の谷垣邦夫社長(左)や大和証券グループ本社の荻野明彦社長(右から2人目)ら=2024年5月15日、東京・大手町

 かんぽ生命保険は15日、大和証券グループ本社と提携し、同社の資産運用子会社大和アセットマネジメントに525億円を出資すると発表した。株式の2割を取得して持ち分法適用会社とし、資産運用の一部を委託する。保有契約数の縮小が続くなか、収益性を高める狙いだ。

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 同日公表した今年3月末時点の保有契約数は前年比6.1%減の1970万件で、不正販売問題発覚前からの5年間で1千万件近く減った。2025年度までの目標としていた「2千万件以上の維持」を断念し、目標を「1850万件以上」に引き下げた。

 かんぽは19年に不正問題が発覚し、契約獲得が激減。昨年度の新契約数は前年比2倍の62万件と回復傾向だが、保有契約の縮小に歯止めがかからない。大和側への出資で利益を取り込むほか、約60兆円ある運用資産のうち1兆円余りの運用を委託する方向だ。

 一方、日本郵政グループが公表した24年3月期の売上高は前年比7.6%増の11兆9821億円、純利益はゆうちょ銀行の持ち株比率が縮んだ影響などで同37.7%減の2686億円。金融2社の業績は堅調だが、日本郵便は郵便物の縮小が響いて減収減益だった。

 25年3月期の業績予想では、日本郵政が18年に出資した米アフラック・インコーポレーテッドを持ち分法適用会社とし、新たに480億円の利益を見込む。ただ、日本郵便は160億円の純損失と8年ぶりの赤字になる見通しだ。郵便料金の値上げやヤマト運輸との協業で増益を見込むが、郵便局窓口の人件費の増加や客離れによる収入減が重くのしかかる。(東谷晃平、藤田知也)

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