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修復作業が続く西宮神社の大絵馬。担当研究員の韓希姃さんが表面の汚れを根気よく落とし、はがれ落ちそうな顔料を修復していった=2024年10月9日、奈良市の元興寺文化財研究所、真常法彦撮影
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 来年で阪神・淡路大震災から30年になるのを前に、えびす神社の総本社・西宮神社(兵庫県西宮市)に江戸時代から伝わる「大絵馬」の修復作業が進んでいる。震災の経験と教訓を次世代に。そんな思いを込める。

 1995年1月17日の震災で、西宮市内は震度7の揺れに見舞われた。西宮神社は本殿が傾き、社務所は全壊。国指定重要文化財の大練塀(おおねりべい)も倒壊し、鳥居や灯籠(とうろう)などの石造物の9割が倒れた。

 本殿西隣にあった「絵馬殿」も全壊した。1763(宝暦13)年に建てられた絵馬殿には、江戸期から昭和にかけて信仰のあつい名士らから奉納された絵馬約50枚が飾られていたが、半数以上が損壊した。

 かろうじて形を残した絵馬のなかに、尼崎藩主・松平忠名が1751年に奉納した大絵馬「神馬舎人添図」があった。

 幅173センチ、高さ139センチ。跳びはねる神馬を引く舎人の姿が描かれた大絵馬には、武運が長く続くよう願いが込められている。

後年の修復を見据え、倉庫に保管

 がれきの中から掘り出された…

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