「週刊朝日」の連載「ブラック・アングル」でも知られるイラストレーターの山藤章二(やまふじしょうじ)さんが87歳で死去しました。

 2018年に朝日新聞朝刊で15回にわたって掲載された「語る 人生の贈りもの」では、山藤さんが自身の半生を振り返っていました。

 連載の一部を抜粋して紹介します。

 <1>病室で締め切り恋しくなった(2018年04月16日)

 鳥の目で見るようになった、と思います。80代を生きるいま、世の中を俯瞰(ふかん)できるようになった。

 それまでは虫の目を光らせ、新鮮なネタと話題の人物を、と遮二無二、求めてきたものですが。

 年齢を重ねると、見えるものが多くなる。でも、それを語り合う知己が次々と世を去っていく。この皮肉が、言いようもなく寂しい。トシをとることは孤独だな。そんな想念がよぎります。

 《ピリッと辛口、クスッと笑える。読者の心をつかむ才人。何枚描いたか、自分でも分からないほどである》

 単なるヨレヨレじいさんにはなりたくない、と思ってきました。ただ、ひざを悪くしちゃって、昨夏にかけて半年以上入院し、持っている連載も、休まざるをえなくなってしまいました。

 半世紀以上、組織に属さずに…

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