「1強」の投資信託:上
新NISAでは「eMAXIS Slim」シリーズが圧倒的な支持を集めています。成長の軌跡を3回で伝えます。(敬称略)
年明け早々、金融業界をある情報が駆け巡った。
新NISA(少額投資非課税制度)が1月に始まり、国内に約6千本ある投資信託に個人投資家のマネーが流入するとの期待が高まっていた。しかし、たった2本の投信に、異様なまでに資金が集中しているというのだ。
2月に明らかになった統計では、年初の1カ月間に流入した1兆3千億円ほどのうち、2本の投信だけで4割超を占めていた。
その2本とは、三菱UFJアセットマネジメントがつくり、世界の株式市場に連動した運用成績を目指す「オール・カントリー」(オルカン)と、米国の株価指数への連動を目指す「米国株式(S&P500)」。ともに、同社が手がける「eMAXIS Slim」(イーマクシススリム、以下Slim)シリーズの投信だ。
とりわけ、オルカンの流入額は約3400億円で全6千本のうちトップ。前年の月平均の5倍以上に膨らみ、投資初心者から玄人にまで幅広く買われた。
投信の世界では、純資産残高が1兆円を超えるとヒット商品とされる。2017年に誕生したSlimシリーズは9兆円を超える。いまや「1強」とも言える国内投信に成長した。
オルカンや米国株式に代表される「インデックス投信」は、市場全体の値動きを示す指数に沿った運用成績を目指す。同じ指数を目標とした投信では、運用成績自体に大差は出ない。
「eMAXISでは戦えない」 生み出された競争に耐えられる仕組み
商品選びでポイントとなるの…