
山形県酒田市黒森地区に江戸時代から伝わる「黒森歌舞伎」の活動を支援するクラフトコーラが、東北公益文科大(同市)と地元企業の産学連携で誕生した。黒森地区出身の学生の発案で、収益の一部が支援に使われる。
このコーラは「YATA GINGER APPLE(ヤタジンジャーアップル)」。「YATA COLA(ヤタコーラ)」などを製造販売する鶴岡市の「ティーズファクトリー」のショウガ味の定番商品をベースに、学生らが味わいを考案。製造時に加工用の地元産リンゴの果汁や実を加えることで、ショウガの風味にリンゴの香りがほのかに漂う味に仕上がった。
瓶のラベルには黒森歌舞伎の一場面があしらわれ、黒森歌舞伎のPR動画が見られるQRコードも付いている。鶴岡出身の歌舞伎役者、中村橋吾さん(45)がデザインに協力したラベルも貼られている。
今回の商品化は、同大の広崎心准教授のゼミ活動の一環。ゼミでは学生がやりたいプロジェクトを提案し、地元企業と連携して実現をめざす。
今回は黒森地区出身の3年生五十嵐舞さん(21)が昨年11月、仙台市であったビジネスマッチングイベントに参加し、同社の鈴木俊将社長(34)に商品開発を直談判して始まったという。
五十嵐さんは「この商品で、黒森歌舞伎をもっと盛り上げたい」と意気込む。黒森地区出身でおはやしを務める3年生佐藤凜さん(21)は「PR動画は普段見られない舞台裏を撮影したので、楽しんでほしい」という。
黒森歌舞伎は現在、役者と裏方の約45人で活動している。五十嵐良弥座長(67)は「(商品を通じて)県外にも知ってもらうことで、応援してくれる人が増えればいい」と期待していた。
新商品は小瓶(180ミリリットル)が税込み1300円、大瓶(375ミリリットル)が同2800円。水や炭酸水、牛乳などで数倍に希釈して味わえる。20日に発売し、月のホテル(酒田市)、庄内観光物産館(鶴岡市)などで販売する。