今年度の公立学校教員採用試験の日程を早めた教育委員会などのうち、85%で受験者数が前年度より減っていた。
朝日新聞が10月、採用試験をする全国の全68機関に調査した。
試験前倒しは、教員のなり手不足解消を目指す文部科学省の要請だったが、現場からは「意味がない」と疑問の声が上がる。
一方、その陰で、さらなる「青田買い」が広がる実態も分かった。「副作用」の懸念も聞かれる。
- 教員採用試験、日程前倒しでも8割が受験者減 「効果ない」の声も
「いたちごっこ」 教育委員会から疑問の声
「民間企業は大学3年や2年と早期から囲い込んでいる。試験を早めてもいたちごっこ」
和歌山県の教委担当者はそう話す。朝日新聞の調査に、前倒しは「効果がなかった」と答えた。
受験者数は1033人(前年度比184人減)だった。文科省は来年度も前倒しを求めているが、「意味があるとは思えない」。日程変更はしない方向だ。
秋田県は前年度より1週間早めたが、小学校の採用見込み110人に対し、受験は108人(同19人減)だった。記録のある2008年度以降で初の「定員割れ」だ。
担当者は「様々な要因があり検証は難しいが、どちらかというと(前倒しの)効果はなかった」と話す。来年度は日程変更をしない予定だ。
同じく「どちらかというと効果がなかった」という回答だった宮崎県は、例年より1カ月ほど早い6月中旬に1次試験を行ったが、964人(同48人減)にとどまった。
担当者は「進路の選択肢が多い都市部と違い、地方では民間企業との併願は少ない。文科省の通知に従ったが、教員の確保に有効なのは日程ではないと思った」と振り返った。
一方、浜松市は「効果があった」。担当者は「ここ数年、受験者は増えており、今回はその一因として前倒しがあると考えた」という。
「分析中」などとして効果の有無を明言しなかった機関も多かった。愛知県では受験者数が前年度比219人減ったが「単年度だけで効果を分析するのは難しい」とした。
■文科省担当者「できる工夫を…