亡くなった妻の淳子さんの若き日の写真。晩年、きめ細かい肌の背中に夫の城アラキさんが「気」を送った=城さん提供
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それぞれの最終楽章 最愛の妻の死(4)

漫画原作者 城アラキさん

 2010年3月、膵臓(すいぞう)がん末期と宣告されて1カ月が過ぎた淳子さんは、僕と2人きりで過ごした八ケ岳の別荘を離れ、浜松市の淳子さんの実家へ戻った。

 車が到着すると、玄関から飛び出してきた義母がオロオロしながら近づき、娘の肩を抱き寄せた。「ごめんね、心配かけて」と淳子さんも言葉をつまらせる。

 荷物を置いて一息ついたころに義父も顔を出し、肩をふるわせて言った。

 「代わってやれれば…代わりに俺が……」

 義母よりいっそう激しく泣く80歳を過ぎた父親の姿に、さすがの淳子さんもつられて涙を流した。

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 自宅で療養するにしても痛み止めの処方などは必要で、車で40分ほどの総合病院へ転院手続きをしに行く必要があった。それまでの数日間でも、淳子さんはベッドに横たわる時間が増え、痛みのせいか睡眠時間が不規則になるなど、様子が変わっていった。

 ある日の午後、淳子さんが「…

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