間取りを自由に変えられるマンションに注目が集まっている。東京都内を中心に3LDKが狭くなりつつあるなか、ライフスタイルに応じて空間を簡単に変えられる点が好評だという。
不動産調査会社「東京カンテイ」によると、地価の上昇が続く東京では、一般的なマンションの3LDKの平均専有面積は、2010年の74・6平方メートルに対し、23年は5%以上狭くなり、70・67平方メートルに。十分な広さを持つ3LDKが、遠のきつつあるのが現状だ。
「クレヴィア」ブランドのマンションを分譲する伊藤忠都市開発(東京都港区)は、収納家具と引き戸を使い、間取りを1~3LDKに変えられる「間取りのない家」を提案。東京都江戸川区のクレヴィア西葛西(49戸)では、39戸準備した6千万~8千万円台の3LDKが完売した。
同社の吉村和樹さんによると、暮らしの価値観が変化するなか、「決められた間取りが住む人の生活を制限している」という問題意識があった。購入者は30代が多く、赤ちゃんがいたり、将来的な子どもの数について決まっていなかったりするという。
長谷工コーポレーション(東京都港区)は18年から可動式のクローゼット「ウゴクロ」を導入。居室を仕切るクローゼットを動かすことで居室の広さを変えたり、新たな部屋をつくったりすることができる。
ライフスタイルに柔軟に対応できると好評で、これまでに1千戸超を供給。コロナ禍でテレワークや趣味に使うスペースをつくったり、子どもの誕生に合わせて間取りを変えたりする利用者もいるという。
販売を担当する長谷工アーベストは「間取りを自分たちの生活に合わせたいというニーズを肌で感じている」という。(小寺陽一郎、中野浩至)