太良町役場の入り口には「月の引力が見える町」と書かれた看板が立っている=2024年5月27日、佐賀県太良町、中山直樹撮影
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 地方の自治体は「消滅」してしまうのか――。有識者でつくる「人口戦略会議」は今春、全国1729自治体の4割にあたる744自治体で人口が減少し、消滅する可能性があるという分析レポートを公表した。全国に改めて衝撃が広がるなか、どのように存続の道をみつけていくのか、各地で模索が続いている。

 「月の引力が見える町」

 最大6メートルの干満差がある有明海。そこに面する佐賀県太良町は、キャッチフレーズとしてそうアピールする。町内にはカキ小屋が並び、名産の「竹崎カニ」を目当てに海外からも観光客が訪れる。

 今回のレポートで、町は「消滅可能性自治体」に名を連ねた。

 人口戦略会議は国立社会保障・人口問題研究所の「地域別将来推計人口」をもとにした分析で、2050年までの30年間で20~39歳の女性人口が50%以上減少する自治体について、「消滅可能性」と分類。若年女性が大幅に減れば次世代の人口減少がより加速するという考え方に基づいており、太良町の減少率は62・4%だった。

 町の人口は1955年の1万5千人をピークに減り続け、2020年時点で約半数の8121人となった。会議の分析で、2050年にはさらにその半数となる4035人まで減少するとされた。

 「『消滅』という言葉は嫌い。いや、大嫌いです」

 分析データを眺めながら、永淵孝幸町長(75)は言葉を強めた。

積み重なる人口減の要因「一自治体では解消できない……」

 実は20年前、町は「消滅」する可能性があった。人口3万人を超える鹿島市との合併案が持ち上がり、可否を決める住民投票を実施した。結果は「合併反対」。437票差で、単独での存続を選んだ。

 永淵町長は当時、町役場の課…

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