木村隆二被告=2025年2月4日、和歌山地裁、絵・岩崎絵里撮影

 和歌山市の選挙演説会場で2023年、岸田文雄首相(当時)の近くに爆発物が投げ込まれた事件で、殺人未遂や公職選挙法違反など五つの罪に問われた木村隆二被告(25)の裁判員裁判が4日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)で始まった。

 弁護側は冒頭陳述で、被告が事件前にも試作品の爆発物を作り、自宅近くの山林で爆破させたが、煙や爆音が上がっただけだったと指摘。「人を死傷させる危険を被告は感じていなかった」と訴えた。木村被告は「人をけがさせる目的はなく、殺意もなかった」と起訴内容の一部を否認した。

 被告は選挙制度への不満から、22年に国に損害賠償を求める裁判を起こした。

 「ただ、(そうした不満を)裁判やSNSで発信したとしても、注目されなかった」と弁護側。事件の背景について「有名政治家がいるところで爆発物を投げて注目を浴び、自身の主張を知ってもらいたいと考えた」と述べた。

 地裁は主な争点について、被告に人を傷つけ、殺そうとする故意があったかと、当時選挙の街頭演説があることを認識していたか、の二つだと説明。検察側は、被告が「人が死ぬ可能性が高い行為だと認識していた」と主張している。

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