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琵琶湖の波の力を使った小型の「波力ポンプ」を小中学生と研究者が協力して開発した。琵琶湖では秋から冬にかけ、冷却された表層水が湖底へ流れ込む「全層循環」が発生。「琵琶湖の深呼吸」とも呼ばれ、湖底付近の生物には酸素の供給源となっているが、温暖化の影響で起こらない年が増えている。酸素が豊富な湖面付近の水を効率よく湖底へ送り込むことで、琵琶湖の生態系の回復をめざしたいという。
湖の環境問題に取り組むNPO法人「びわ湖トラスト」は、自然エネルギーを使って水質改善を促す装置のアイデアを2020年、環境教育の場としている「ジュニアドクター育成塾」の小中学生らから募った。有望な案のいくつかを、同トラスト副理事長でもある熊谷道夫・立命館大学教授と児童生徒らで検討を重ね、湖水の波だけで稼働するポンプを設計した。22年夏に最初の試作品が完成し、テストと改良を重ねてきた。
ポンプは塩ビ製で、内径50…