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2024年度の名古屋市教育会への入会案内のチラシ
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 名古屋市内の3割弱の児童生徒らの保護者が会費を納める任意団体「名古屋市教育会」が23日、3月末で解散する方針を明らかにした。創立から120年を超える市独自の教育助成団体。入会は保護者の自由意思とはいえ、学校の教室で児童生徒を通じて会費を集める方法に、長年、「強制ではないか」などと批判や疑問の声が上がっていた。

 同会や市教育委員会などによると、前身団体の設立は1881(明治14)年で、現在は市教委や市教員組合などと同じ市教育会館(同市東区)に事務局がある。市教委の外郭団体ではなく、市から補助金などは出ていない。一方で、同会は市教委から「公共的団体」として認められ、賃料の支払いは免除されているという。正会員は市内にある国公立の幼稚園や、市立の小中学校、高校、特別支援学校の教職員のほとんどで、児童生徒の保護者には賛助会員として、「年会費」名目で「1口100円、できれば5口以上」の協力を求めている。

 今年度の児童生徒の加入率は約25%。3千万円近い収入のうち保護者約4万3千人からの賛助会費が約8割を占める。支出として、病気やけがをした子どもの見舞いや部活動への支援、教職員向けの研修補助などの事業費が約1500万円、校長経験者2人を含む事務局員3人の給与などに約1千万円があてられた。

 教職員が教室で入会案内のチラシを配って会費を集める方法が、以前から問題視されていた。昨年9月には当時の河村たかし市長が「半ば強制的」「任意団体でもいかんですよ、教室の中で」と批判。坪田知広教育長が市議会で、集金方法などを教育会と協議する考えを示していた。

 同会の小口博則事務局長によると、市教委との協議を踏まえ、振り込みへの切り替えも検討したが、保護者に手数料負担がかかることになり現実的ではないと断念。今後も少子化に伴う減収は避けられないことから事業継続が難しくなったとしている。2月25日の総会で解散を決める見通しで、小口事務局長は「学校での集金以外の方法が見当たらなかった。名古屋の教育に資する活動をしてきたので、解散は残念」と話す。

 同会が支援してきた作品展示会などは、市教委に予算化を要望していく一方、積立金は市の教育に役立つような使い道を考えていくという。

 同会の解散方針を受け、名古屋市の広沢一郎市長は「良いことをされてきた団体ですので、無くなってしまうのは残念」と述べた。一方で任意団体の立場ながら学校現場で会費を集めていたことを挙げ、「それがないと成り立たないとなると(解散は)仕方がないのかな」と話した。

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