衆院憲法審査会で自由討議に臨む与野党の議員ら=2024年5月30日午前10時37分、岩下毅撮影

 憲法改正に前向きな各党各会派のみで条文案を今国会に提出する案が自民党内に浮上している。今年9月までの総裁任期中の改正を掲げる岸田文雄首相の意向を受け、賛同を呼びかけるが、「合意形成の軽視」だとして批判が強まる可能性があり、実現は見通せない。

 改正原案の国会提出となれば、初めて。大災害時などに総選挙が実施できない場合に備え、国会議員の任期を延長する規定を新たに設けることが想定されている。

 提出方法は、①各党合意の上で、憲法審査会長が行う②衆院100人以上、参院50人以上の賛成議員で行う–の二つ。衆参の憲法審は、立憲民主党や共産党の反対で改正原案づくりが進まず、自民内には②を主張する声がある。賛同者には自民のほか、公明党、日本維新の会、国民民主党、衆院無所属会派「有志の会」の5会派を想定。自民の中谷元・与党筆頭幹事は5月30日の衆院憲法審で、「時間的な制約もある。5会派のみで検討したい」と表明した。

背景に総裁選 「岸田おろし」への牽制か

 ただ②は、与野党協調を重視…

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