美術館や博物館で視覚障害者が芸術作品を触って鑑賞できるようにする取り組みが徐々に広がっている。「手でみる鑑賞」とも言われる鑑賞法だが、視覚障害者はどのように作品を味わうのか。岐阜県内で開かれた鑑賞会をのぞいた。
11月7日、岐阜県多治見市のモザイクタイルミュージアムを訪れたのは大垣視覚障害者福祉協会(岐阜県大垣市)に所属する60~80代の全盲、弱視の視覚障害者8人とサポート役6人の団体だ。
行き先少なく「いつも考えている」
2018年に施行された障害者文化芸術推進法で「鑑賞の機会拡大」が盛り込まれ、企画展や常設展で「触れる展示」を設けるところも増えている。
しかし、「視覚障害者が芸術を楽しめる場所はまだまだ少ない。行ける場所がないかといつも考えています」と、この日ミュージアムを訪れた企画者の吉田みはるさん(64)。SNSなどで行き先を探すなかで、このミュージアムを見つけ、6月に下見に来て相談したところ、岩井利美館長(66)が快諾。何度かの打ち合わせを経て、この日の訪問が実現した。
タイルを使った作品を展示するミュージアムは触って楽しめる作品も多い。さらにこの日は岩井館長が、24枚の触感が異なるタイルを準備し、違いを味わってもらった。また、訪問記念として、陶芸に使う粘土を手でぎゅっと握りしめて手形を刻む作品づくりも行った。
参加した山本道子さん(71)は「文字が書かれたタイルが面白かった」。手全体を使って鑑賞するが、細かい部分の感触を確かめる時は、人さし指を使う。普段点字を読むときに使っているため、感覚が一番鋭いという。
「手でみる」鑑賞法は
次に訪れたのは企画展「青の…