紅葉がピカピカの黒塗りの床に映る「床もみじ」で知られる門跡寺院の「実相院」(京都市左京区)が、寺の修復費の調達に苦しんでいる。老朽化対策と耐震補強のために数億円の費用が見込まれる。だが、檀家(だんか)がいない拝観料に頼る観光寺院なだけに、調達が見通せない。
実相院は元は天台宗寺門派の寺院。1229(寛喜元)年に創建された。江戸時代には皇室との縁を深め、1721(享保6)年、東山天皇の后(きさき)の住まいを譲り受けた。それが、実相院のいまの建物だ。
国の登録有形文化財の客殿には、鎌倉時代につくられた「木造不動明王立像」などの仏像、狩野派の作者たちが描いた「群仙図襖(ふすま)」などの襖絵などが所蔵されている。
これまでも、建物の部分的な修繕はしてきた。門主の原敬寿さん(72)によると、大地震を想定し、移築から300年にあたる2021年、襖絵などを別の場所に移し、屋根を外すなど4年間にわたる工事を計画した。
ところが費用は数億円と見積…