ニカリウス地区で計画されている携帯電話基地局の電源となる太陽光パネル設備(黒い部分)。高さ約10メートル。城壁のようだ=6月7日の知床自然遺産地域科学委員会の配布資料から

 知床世界自然遺産の知床岬で進む携帯電話基地局の整備事業について、北海道羅臼町の高島譲二町議が町議会6月定例会で、建設反対の立場を明らかにした。隣の斜里町議会でも議員が反対を表明している。湊屋稔町長は推進する考えに変わりがないことを説明し、理解を求めた。

 知床半島先端部での基地局は知床岬のほか、羅臼側のニカリウス地区で新設が計画されている。高島議員は19日の一般質問で、「知床の自然」「漁業者の命」を両立させることの重要性を理解した上で、携帯電話の不感地域を解消する方法としてインターネットにもアクセスできる衛星通信の利用を提案した。基地局が不要になるからだ。

 これに対し、湊屋町長は町のホームページ(HP)に掲載した自らの考えを改めて語った。

 HPでは「知床の自然環境の保全や生態系を脅かすような行き過ぎた行為は望んでいない」とした上で、「現代のデジタルツールを利用して安心・安全に漁業生産活動や観光業をすることが、世界自然遺産の知床だから許されないということであれば到底納得できない」「安心して操業できる環境整備を行い、漁民の命を守ることこそが、町長としての使命」と記している。

 羅臼町は小型遊覧船の沈没事故の前から国などに携帯電話の不感地域解消を要望してきた。ただ、高島議員は「岬までは複雑な入り江が続き、基地局を建てても不感地域はなくならない。多大な事業費をかけるより、最新の衛星携帯をウニやコンブ漁の漁師全員に貸し出した方が安上がりで現実的だ」という。

 一方で、高島議員は今回の基地局の具体的な計画書や完成予想図などの情報がほとんどの町民に示されていない点を指摘。「ニカリウスの図面を先日見てあまりの大きさに驚いた。城壁のよう。羅臼にも反対意見はある。まずはすべての資料を出して町民に説明する機会を設けてもいいんじゃないか」と話している。(奈良山雅俊)

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