事件の容疑者や行方不明者の捜索などで、警察に協力する「嘱託警察犬」と一緒に出動する、指導士を目指す18歳が埼玉県内にいる。今春、県警の審査会に挑んだ。「相棒」は祖父と父が指導してきたアレックス号(8)。合格すれば、70年前の曽祖父から一家4代続く指導士になる。
4代目を目指すのは、さいたま市浦和区の羽鳥雄太さん(18)。平日は動物看護師の専門学校に通いながら、夕方や休日に犬の指導訓練をしている。
羽鳥さん一家が指導士を始めたのは1954年。大蔵省造幣局で勤務していた曽祖父の忠夫さん(故人)の犬好きが高じ、埼玉県警の嘱託警察犬制度の1期生として指導士になった。祖父と父もその後に続いた。
指導士の仕事はハードだ。毎朝6時半から午後2時ごろまでは嘱託警察犬の訓練。その後、一般から預かった犬のしつけ訓練をして、夕方からは犬の散歩へ行く。警察犬の出動で受け取る「謝金」のほかに、一般の犬の預かりもして生計を立てている。
行方不明者の捜索や事件の発生で県警から連絡があれば、夜中でも出動する。羽鳥さん一家の場合は年30件ほどだが、2019年に県警が直轄警察犬を導入するまでは年約100件あった。テレビ中継されるような大事件での出動は、家の中の空気が張り詰める。
「大変そう」と敬遠していた道、あえて4代目を目指す訳
2019年9月、さいたま市…