追手門学院大学の三成美保教授=2023年5月24日、大阪府茨木市の同大

 結婚する際に夫婦が姓を同じにするか、改姓しないかを選べる「選択的夫婦別姓制度」に関して、香川県議会と県内全ての市町議会で3月までに、制度導入や議論推進を求める意見書が可決された。

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 地方から声が上がり始めた一方、国会での議論は停滞している。これまでの議論の経緯や見通しを、追手門学院大の三成美保教授(ジェンダー法学)に聞いた。

 ――選択的夫婦別姓をめぐり、過去には民法改正案が準備されました。

 1996年の民法改正要綱ですね。実際に改正案が用意されましたが、与党内の保守系議員から強い反発があったため、国会への提出が見送られました。その後何度も野党が法案を出しましたが、すべて廃案になっています。2010年にも改正案がまとめられましたが、成立しませんでした。

 現在の制度をめぐる議論の状況も、当時からほぼ変わりません。リベラルと保守の対立だけで語るべきではありませんが、「家族の一体感」を重視し、夫婦同姓をその象徴とする考えは、やはり旧来の価値観を持つ人々に見られるものです。

 なぜ、日本では国際社会の潮流に乗り遅れたのか。選択的夫婦別姓の議論で主張される「家族の一体感」や、別姓の当事者の子どもへの影響などについて聞きました。

 ――80、90年代は国際的…

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