自分の子には、病気を遺伝させたくない――。遺伝しない受精卵を子宮に戻す着床前検査を申請したら、検査会社から「できません」という回答が返ってきた。たどり着いた方法は、学会が認めていない医療機関での着床前検査だった。「病気を否定するわけではない。でも、検査を選択できる自由すら与えてもらえないのは悲しい」
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関西地方に住む40代の男性が父の異変に気付いたのは中学のとき。ひざから崩れ落ちる父を母が支える場面が何度かあった。「お父さん、足が悪いから」と母は言う。
偶然、リビングにあった父の障害者手帳を見つけた。「筋ジストロフィーによる四肢不自由」といった言葉が書いてあった。ぱっと見た感じでは父に異変はないが、歩くのが遅かったり、物を持ち上げるのが大変そうだったり。思い当たることがいくつもあった。
父の病気は禁句 「おかしいなあ」
法事で父のきょうだいに会うと、みんな歩きにくそうにしている。親族とはいえ、筋肉が落ちてほおがこけるなど、顔の特徴も似てきた。
図書館で調べると、「筋強直性ジストロフィー」の特徴と父の症状が一致した。遺伝性と書かれているが、母からは「いや、そんなことはない」とはぐらかされた。
「おかしいなあ」。ただ、父の病気について家庭内では禁句だった。
結局、父は55歳で働けなく…