「大吉原展」には、吉原の町を思わせる展示もある
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 江戸時代につくられた幕府公認の遊郭・吉原にまつわる浮世絵などを集めた美術展「大吉原展」が、東京・上野の東京芸術大学大学美術館で5月19日まで開かれている。売買春で成り立っていた吉原について、華やかな文化をアピールする広報などが批判された。負の歴史を持つテーマを扱うこの展覧会を、どう考えるか。

 吉原は17世紀初め、日本橋に開設され、後に浅草寺の北に移った。大吉原展は、歌川広重や喜多川歌麿ら多彩な絵師による風俗画や美人画を紹介し、約250年にわたり続いた江戸吉原の歴史を中心にたどる。

 大吉原展は、開催前の今年2月上旬ごろまでにはネット上で問題視されていた。展覧会の公式ホームページやチラシに、「江戸アメイヂング」「イケてる人は吉原にいた!」などエンタメ性の強い文言が躍っていたのだ。「女性の性暴力の歴史に触れていない」「吉原を美化している」といった批判が上がった。中には、開催中止を求める声もあった。

 展覧会の主催は、東京芸術大…

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