「中部圏ビジョン2050」では「未来型工場」のイメージ図も示されている

 「社会課題を解決する仕組みを中部圏発で」「国内外から人を引きつける地域に」「東京一極集中の是正を実現するひな型を示す」――。中部経済連合会は2月にまとめた「中部圏ビジョン2050」で、2050年ごろに地域がめざす三つの姿を掲げた。なぜ、いまビジョンが必要なのか。

 「一番の課題は人口減に少子化、東京への集中。ちょっと大きな風呂敷かもしれないが、持続可能な社会を実現する視点で羅針盤を共有したかった」。中経連の水野明久会長は33ページにわたるビジョンの意義をこう説明する。

 中部圏は愛知、岐阜、三重、静岡、長野の5県を指す。6月をめどに策定するアクションプランで、具体策をさらに掘り下げる。

最先端の未来型工場を

 羅針盤の一つ目は「産業の進化と多様化」だ。ビジョンでは「最先端の未来型工場の集積強化」をうたい、設計、生産、物流倉庫などの流れをイメージ図で示した。「AIの活用」「無人化」「最適化」といった言葉が目立つ。

 キーワードは、中部圏の強みである製造業の「スマート化」。水野会長は「骨と思う一つは、デジタル技術を媒介としたデータの蓄積をいかに製造業全体に生かし、最適化していくか」と言う。たとえば、車部品大手のデンソーは愛知県西尾市に建設中の新工場を、30年ごろに24時間無人の「自動化工場」にすることをめざす。設備の動作をデジタル技術で予測し、効率的な生産ラインや搬送などのシステムを構築する。

 ビジョンでは、各社の技術や人材などを多様な企業・組織と連携させて、温室効果ガスの削減をはじめとする社会課題の解決につなげると描いた。

女性や外国人の活躍を広げて

 二つ目の羅針盤は「人材・働き方の高度化」だ。

 働き手が不足する「労働力希…

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