世界遺産も含む悠久の吉野・熊野地域。広く深いこの土地を歩き続ける優れた学芸員がいます。
松田度(わたる)さん。専門の考古学にとどまらず、絶滅したとされるニホンオオカミや「吉野の桜」など。いま朝日新聞に、知る人ぞ知る大地の歴史や自然についての文章を書いてくれています。
今回は戦前の吉野・熊野地域や当時の大ヒット漫画を生き生きと伝える貴重な映像作品についてのお話を書いていただきました。
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19世紀の終わりごろ、アメリカやフランスで、総合芸術としての映画が誕生しました。ほどなくその技術が日本にも伝わり、映画の制作がスタートします。
現存する最古の日本映画は、明治32(1899)年に撮影された歌舞伎の演目「紅葉狩(もみじがり)」。その映像を収めたフィルムは、国の重要文化財として国立映画アーカイブに収蔵されています。
100年前のアニメフィルム発見
奈良県に残る最古の映画フィ…