4月23日、訪問したリサ・マクレーン米下院議員を迎える台湾の頼清徳(ライチントー)副総統(右、肩書は当時)。台湾総統府提供=AP

 米国はかねて、台湾の頼清徳(ライチントー)総統の就任を機に中国が軍事的圧力を強める可能性を警戒し、中国側に自制を促していた。中国が台湾を取り囲む形で軍事演習を始めたことに反発し、中国との対立がより深まりそうだ。

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 「中国に対し、緊張を高めるための口実として(台湾総統の)選挙を用いないよう強く求めてきた」。米国防総省のライダー報道官は21日、そう強調していた。中国が海軍の活動を活発化させ、台湾に対する圧力を強めているとも指摘し、改めて懸念を示していた。

 ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢への対応に追われるバイデン米政権にとって、頼氏の総統就任をきっかけに台湾海峡の緊張が高まる事態は避けたいのが本音だ。「(頼氏の就任をめぐって)軍事的圧力や威圧で対応すれば、中国が挑発する側になる」(高官)と中国を繰り返し牽制(けんせい)してきた。

 中国側に対してだけではなく…

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