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演劇「おはよう◎ユニバース」の一場面=東京都内、萩谷至史さん提供
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 国内の原子力施設で初めて被曝(ひばく)による死者を出した茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」の臨界事故から、9月30日で25年。原子力事故に見舞われた村で、小学生のころに感じた「不条理」を表現し続けている劇作家がいる。

 東京を拠点に活動する劇作家・演出家の萩谷至史(よしふみ)さん(35)が書いた演劇「おはよう◎ユニバース」は、人類が宇宙に移住するための超大型ロケットを作る技術を開発した研究者「ナミ」を中心に進む。その実験用の発射台は、偶然にも、様々な条件を満たしたナミの故郷である「西山村」に設置される。

 ロケットは、人類の未来にとっての希望である一方、発射時に大量のエネルギーが放出されるため、住民は村外に移住するよう「国」から通達が出る。開発した技術で故郷を消滅させることになったナミ、移住を迫る村職員、村を出て行くことを拒否する住民……。登場人物がそれぞれの立場で思いをぶつけ合う、そんなストーリーだ。

 村は未来のための犠牲なのだろうか――。萩谷さんは、自分の郷里への思いを重ねた。

郷土の音頭に「ともれ明るい 原子力」の歌詞

 生まれ育った東海村は、日本…

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