経団連が入るビル=東京・大手町

 経団連は11日、エネルギー政策の中長期的な方向性を示す「エネルギー基本計画」の見直しに向けた政府への提言を公表した。「可能な限り原発依存度を低減する」という現行計画の記述を削除し、年度内につくる予定の次期計画で原子力を最大限活用する方針を明示するよう要望。原発の再稼働に加え、リプレース(建て替え)や新増設、次世代革新炉の開発などを急ぐよう訴え、国の原子力政策の明確な転換を求めた。

 提言のタイトルは「国民生活・経済成長を支えるエネルギー政策の確立を求める」。電力の需給や経営上の課題に関する会員企業へのアンケート結果をもとにまとめた。

 提言では、ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化によるエネルギー価格の高騰や電力需給の逼迫(ひっぱく)に対する経済界の懸念を背景に「わが国は石油危機以来のエネルギー危機に直面している」と指摘。2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標の実現には、再生可能エネルギーとともに「脱炭素電源である原子力の導入拡大の道筋を明確に示すことが不可欠」だとした。生成AI(人工知能)の利用拡大、データセンターや半導体工場の増加を受けて電力需要が大幅に拡大する見通しも踏まえ、原子力の最大限の活用を求めた。

 まずは既存原発の再稼働を加…

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