インタビューに応じるスバルの大崎篤社長=東京都渋谷区、松岡大将撮影

 スバルの大崎篤社長は昨年末に報道各社のインタビューに応じ、「好調な北米のビジネスモデルを崩さないようにしたい」と語った。年間販売台数のうち約8割を北米が占め、「北米一本足打法」とも揶揄(やゆ)されるスバル。苦戦するメーカーもあるなか、堅調な理由は何なのか。

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 大崎社長は「一本足でやる以上はリスクが伴う。だからこそマーケティングを工夫してブランド価値を落とさないようにやってきた」と述べた。価値が落ちれば販売奨励金を積むことになり、売り上げは確保出来ても利益をむしばむ。スバルは北米でインセンティブ(販売奨励金)を抑えて再販価格を高く維持するモデルを続けている。2024年9月中間期の米国とカナダでの販売台数は、計35万2千台。前年同期比で6千台減ったものの、全体の業績で見ると純利益は同8%増の1630億円だった。

 価値を維持する秘訣(ひけつ)は「販売店との関係構築」と述べた。北米では、販売店はかつて治安に難がある地域などにあり、近寄りにくいイメージがあったという。そこで、文房具を寄付したり、介助犬の訓練を行う組織に寄付したり、地域の支援にも取り組んできた。「『課題解決に少しでも自分の力を使いたい』というお客さまが多い。販売店がその意図をくんで売り上げの一部を充てることで、ブランド価値がすごく上がってきた」と大崎社長は語る。

 一方、不安要素もある。ハイブリッド車(HV)の需要が高まる中、それを取り込めているトヨタ自動車やホンダとは対照的に、展開できていない。大崎社長は、「そろそろHVを追加しないと頭うちになっちゃうギリギリのところまで来ている」と危機感をあらわにし、今春に投入予定の新HVに期待を込めた。

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