(6日、プロ野球 読売ジャイアンツ7―4千葉ロッテマリーンズ)
苦しみから解き放たれたような快音が、東京ドームに響いた。
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二回1死一、二塁。
読売ジャイアンツ(巨人)の大城卓三が、ロッテ・西野勇士の投じた高めの144キロを振り切る。速い打球が右翼スタンドに飛び込み、3ランとなった。
普段は試合中に表情を崩さない阿部慎之助監督も笑顔になり、ハイタッチで出迎えた。今季初アーチを描いた31歳は「入れと思いながら走った」と喜んだ。四回にも中前に適時打を放ち、4打点と暴れた。
昨季はチームで2番目に高い打率2割8分1厘を残した左打者は、今季も“打てる捕手”として期待された。
ところが、開幕から状態が上がらず打率は1割台まで下がった。5月8日には、精彩を欠いていたプレーを目の当たりにしてきた阿部監督が決断した。
2人きりで話し、「また野球が楽しいなとか、もう一回そういう原点に戻ってきてくれ」と伝えられた。出場選手登録を抹消され、2軍へ降格した。
2軍では指名打者として出場したり、若手とともにプレーしたり。それは、精神面をリフレッシュしてほしいというチームの方針だった。そうして、心身を整え、「初心に戻って少年のような気持ちが大事だと思った」。
5月31日に1軍へ戻り、4月29日以来となる1軍での先発マスク。23歳の左腕・井上温大(はると)を懸命にリードし、プロ通算3勝目に導いた。「変化球を結構ストライク先行で投げてくれた。勝てたことがよかった」。
扇の要は、ほっとした笑顔を浮かべた。(堤之剛)