現場へ! 女川「被災原発」の足元で③
九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町が5月、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分場の文献調査を受け入れた。原発の立地自治体では初めてで、北海道の寿都(すっつ)町、神恵内(かもえない)村に続く3例目だ。
遠く離れた東北電力女川(おながわ)原発(宮城県女川町、石巻市)の地元でも注目された。再稼働すれば、使用済み核燃料の処分が必要になるからだ。
「女川町も最終処分場選定の文献調査を受け入れる考えはあるか」。6月、町議会で出た質問に、町長の須田善明(52)は「能動的に手を挙げることは考えていない」と述べ、玄海町とは違う考えを示した。
質問したのは町議の宮元潔(54)。「核のごみを発生させている自治体だから、最終処分までするのは当然かな」と持論も展開。この発言には町民から強い反発もある。
大震災の震源に近い牡鹿(おしか)半島にある女川町は14・8メートルの大津波に襲われ、827人が犠牲になり、家屋の9割近くが被害に遭った。
漁業の町で、女川湾に面した中心地の復興は盛り土で津波対策をし、JR女川駅から海に向かう通りに商業、観光、交流施設を新たに建設。いち早い取り組みは「復興のトップランナー」といわれる。
宮元も営んでいた海産物卸店が津波に遭ったが、仮設商店街で商売を続けて復興に尽力。女川湾を望む一角に観光物産施設ができると飲食店を出し、にぎわいに一役買う。
地震に大津波、そして原発がある町。リスクを考える大手企業は来てくれないだろう。「ならば、すでにある原発を活用するしかない」
町の財政は、原発関連中心の…