4月、愛知県立高校4校に付属中学が設けられ、東海3県初の併設型公立中高一貫校がスタートする。4校のうちの1校である明和で学んだメ~テレ(名古屋テレビ)の大橋葵記者(27)が、取材を通して感じたことをつづります。
自身の卒業からおよそ9年。取材のために久しぶりに訪ねた母校・愛知県立明和高校の正門は閉鎖され、中では重機の音が鳴り響いていた。2年生と3年生の2年間を過ごした校舎北館にも足場が組まれ、当時とはすっかり見た目が変わっている。
それでも、学校の敷地に一歩足を踏み入れて懐かしいにおいをかぐと、いくつもの記憶がよみがえってきた。合格発表を目にした掲示板、部活の仲間と過ごした書道室、蚊に刺されながら体育祭の準備に打ち込んだグラウンド……。3年間の思い出は、とても語りつくせない。
中高一貫校化、倍率に衝撃
4月、その母校に併設するかたちで、付属中学校が開校する。2年間はプレハブの仮設校舎暮らしで、部活動もないというのに、初年度の入学者選抜の倍率は約17倍。数字を聞いた時には衝撃を受けた。私が入学した当時、明和高校の倍率はおよそ1.8倍で、近年も1.7倍前後だったからだ。中学校の募集人数が少ないとはいえ、単純計算で10倍ほどにもなる。
一方で、それだけ多くの人が「明和」という学校に興味を持ってくれているというのは、卒業生の一人として誇らしい気持ちにもなった。
文化祭で感じた「自由な校風」
もともと、私が明和高校を選んだきっかけは、中学生の時に訪れた文化祭で感じた、「この学校に通いたい」との漠然とした思いだった。正門に設置された華やかなアーチや、3年生の鬼気迫る演技が印象的だった演劇、カラフルなクラスTシャツなど、中学生にとっては、その非日常がキラキラと輝いて見えた。
いま思えば、生き生きとしている明和生の姿への憧れが、自分の心に芽生えた瞬間だった。よく言われる“自由な校風”というのも、その時に感じたことを覚えている。
そんな憧れから始まった明和での高校生活。在学中によく耳にしたのは「自主自立」という言葉だった。「自主自立に明るく和む生活」という校歌の歌詞にも入っているこの言葉。明確な校訓はない明和高校だが、“自由な校風”の裏にあるのは、生徒たちの「自立」の意識だったと思う。
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その特徴が最もよく表れてい…