大阪府高槻市のPTA団体が、役員を引き受けてもらおうと、自宅を訪問して話をする際のマニュアルを作っていた。1回目、2回目、3回目以降と進め方を段階的に細かく提示。「良いお返事を頂くまで私たちは何度でも参ります」「私たち指名委員が来た事はご内密にお願いします」などと、文言も具体的に示していた。
この「自宅訪問マニュアル」は、高槻市PTA協議会が作成。関連資料などによると、市内の各市立小中学校のPTAは、毎年秋ごろ、次期役員を選ぶ。「指名委員」と呼ばれるメンバーが、候補と定めた保護者の自宅を訪ねる。その際にマニュアルを参考として使っていたという。
PTAの指名委員が次期役員選定で使用
市教育委員会によると、マニュアルはいつから存在するかはわからないが、2023年8月、市PTA協議会と市教委が共催した指名委員の学習会で配布された。現在も使われているかは「不明」(市教委)だが、小学生の保護者は「昨年はマニュアルに沿った勧誘があった学校もあった」と話す。昨年12月の市議会定例会の一般質問では、このマニュアルの存在を取り上げる議員もいて、「非常に問題だと考えられることが行われていた」などと指摘していた。
「自動加入でいいの?」「自宅訪問って必要?」と改革に乗り出したPTAもあります。「自宅訪問マニュアル」の中身は後半に掲載します。
市PTA協議会は取材に対し、市教委を通じて「取材はお受けしない」と回答した。市教委の担当者は「PTAは社会教育団体で、自主性が法律上担保されている。指導などをする立場にはない」と話した。
現在の市教育委員で、過去に市PTA協議会の会長を務めたことがある岡本華世氏は取材に対し「(マニュアルは)参考資料の一つとして配布されていたと記憶している。長年にわたるPTA活動の経過の中で、多くの関係者が『PTA活動が円滑に継続できるように』との思いから整えてこられたものだという趣旨で引き継ぎを受け、私も諸先輩にならい、同様に取り組んでいた」などとコメントした。
改革に乗り出すPTAも
自宅訪問による勧誘や、会への自動的な加入などをやめた高槻市内のPTAもある。
市立赤大路小学校のPTA会長、岩崎健一郎さん(42)は22年11月、指名委員から自宅訪問を受けたという。
「そもそもPTAは子どもが入学したら自動加入で、会の目的が何かも知らない。おかしい、変えなくては」と感じていた。
23年4月、PTAには何もなくても自動的に加入するような仕組みから、任意で入るか入らないかを決められるようにしようと、入会届を初めてつくった。
その結果、約500人いた会…