坑道内の作業の様子を人形で再現している=2024年5月19日、新潟県佐渡市、田島知樹撮影
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 「満額回答」の登録勧告とはならなかったが、情報照会を得たことで資産の価値は認められた。本番となる世界遺産委員会での決議で「昇格」する例は多く、情報照会勧告となった昨年の文化遺産6件もすべて登録された。その流れに鑑みれば、この夏の登録実現も夢ではない。

 一見地味な「佐渡島の金山」だが、1994年の世界遺産委員会で産業遺産などを重視するグローバル・ストラテジー(世界戦略)が採択されて以来、インフラ整備や生産を支えた歴史遺産の存在感は増している。

 ただ、これらには近現代にまで及ぶ比較的新しい物件も多く、列強が覇を競った時代背景から「負の遺産」の印象が強いものもある。歴史認識の食い違いが国民感情と絡んで登録の行方を左右しかねず、佐渡金山をめぐっても、戦時中に朝鮮半島出身者が働かされたと韓国が反発している。

 登録の可否を決めるのは各国…

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