ウクライナの東部ドネツク州で、ロシア軍の空爆で破壊された建物の前を歩くウクライナ兵=2024年9月17日、AP

記者解説 アメリカ総局員・清宮涼

 「私たちは世界史の転換点に立っている。今日の選択が数十年の未来を決めると信じている」

 9月24日、国連総会での演説でバイデン米大統領は力を込めた。

 「歴史の転換点」はバイデン氏が繰り返し用いてきた言葉だ。ロシアや中国といった専制主義に、民主主義の米国がリーダーとなって対抗するという考えがある。

 バイデン政権は中国を唯一の競争相手として最優先課題に掲げてきた。そこに2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻。23年10月にはイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が起きた。アジア、欧州、中東という「三正面」で対応を迫られることになった。

 米国が唯一の超大国ではなくなったいま、バイデン政権は世界の課題に単独で対処する力はないと認める。そこで力を入れたのが同盟・友好国との連携強化だった。

ポイント

 米国は欧州と中東、アジアの「三正面」で紛争などへの対応を迫られている。影響力が相対的に下がるなか、世界のリーダーとしての限界も目立つようになった。大統領に誰がなるかで外交政策は大きく変わるため、日本は柔軟な対応が求められる。

 トランプ前政権で悪化した欧…

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