国際政治学者の玉置敦彦・中央大准教授

 米中対立が激化し、欧州と中東の戦乱で国際情勢が急速に悪化するなか、トランプ政権の再来が決まった。「またトラ」の世界で日本外交は何を目指すべきなのか。膨大な1次外交史料の読解から米国と同盟国との関係史を分析してきた国際政治学者の玉置敦彦・中央大学准教授に、見取り図と指針を尋ねた。

トランプ外交の背後に大きな流れ

 ――トランプ氏の大統領復帰で、バイデン政権が曲がりなりにも改善させた同盟国との関係が、再び悪化すると危惧されています。

 「短期的に見ればその可能性はありますが、背景にあるもっと大きな流れを見る必要があります」

 「確かにトランプ政権1期目(2017~21年)は、米中対立が深まっていたにもかかわらず、同盟国との結束を強化するどころか深刻な対立を引き起こし、米国自らが実質的に築いた国際制度をも敵視しました」

 「ただそれは、オバマ政権期…

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