意外な結果、やっぱりな結果。2024年は選挙が続いた。選ぶことはなんと難しいのか。論壇担当記者が、1年の論壇を振り返り考えます。
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私たちは、ちゃんと選べるのだろうか。そもそも何を基準に選んでいるのか。国内外で重要な選挙が続き、選ぶことの難しさを考えさせられる2024年だった。
欧州議会選など、欧州では移民や難民の受け入れに否定的な極右政党の伸長が目立った。ただ、古賀光生はそれが世論の排外主義が高まった結果であるという因果関係に慎重な見方をしている(世界10月号)。移民問題など一国での解決が難しく既成政党が争点化しづらい課題では、急進的な政策を主張する政党が支持を集めやすくなると指摘している。現実の問題に対しシンプルな解決策を提示することは難しい。それでも「わかりやすい」選択肢を人は求めるのかもしれない。
米大統領選は党派的対立が深まっていることを印象づけた。保守とリベラル、大衆とエリートなど、どのように名付けるとしても、「『わたしたち』と『あいつら』」という二つの陣営に分かれて不信と敵意がわだかまりつつあると河野有理は表現する(中央公論12月号)。この指摘を踏まえると、私たちは特定の信条に基づいて投票しているというよりも、その候補者が「わたしたち」の側の人間と感じるかどうかで選択している面がありそうだ。
国内では衆院選で与党の議席が過半数を割った。御厨貴は朝日新聞のインタビューで、これまでの連立や国対政治の発想が通用せず「日本の政治が創造的に変わるチャンス」と肯定的に捉える(11月12日朝刊)。
都知事選のひわいなポスター…