混乱の末、政府内でも導入の意義に疑念を抱えたまま、予算が膨れあがっている自衛隊のプロジェクトがある。敵のミサイルを迎撃する「イージス・システム搭載艦」だ。2隻の取得費はこれまでにかかった経費を合わせ8千億円近くに上り、維持整備費を加えると1兆円を超えるとの指摘もある。
計画の発端は、海上自衛隊の「イージス艦」の乗組員の負担軽減だった。北朝鮮からの弾道ミサイルに備えて4隻態勢で対応し、洋上での長期間滞在を強いられていた。そこで政府は17年、陸上に新たにイージスを配備して陸自が運用する計画を打ち出し、秋田、山口両県を候補地とした。
しかし、この陸上イージス計画は防衛省の地元へのずさんな説明などで20年6月に計画を断念。ところが話はこれで終わりにならない。米企業のレーダー「SPY7」とイージスシステムを契約済みだったことを理由に、政府は違約金の支払いなどを恐れ、陸上に配備予定だった迎撃システムを2隻の艦船に積む計画をひねり出した。
海自隊員の負担を減らす目的…