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ジャパンディスプレイのスコット・キャロン会長兼最高経営責任者(CEO)=2024年11月13日、東京都中央区日本橋兜町、田中奏子撮影
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 液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)は13日、2025年3月期の業績予想を下方修正し、純損益が393億円の赤字になると発表した。今年5月時点の予想より赤字幅が127億円拡大した。売上高は418億円引き下げて1800億円を見込む。車載用やスマートウォッチ向けのディスプレー販売が苦戦しそうだという。株式上場以来11期連続の赤字となりそうだ。

 ディスプレー専業メーカーで売上高のほとんどをこの事業で稼ぐ同社だが、スコット・キャロン会長兼最高経営責任者(CEO)は同日の決算説明会で、「一本足打法、やめさせていただきます」と宣言した。本業だけでは赤字から脱却できないとして、事業の多角化を進めるという。

 同社は25年3月期以降は黒字化に向けて回復基調に転換するとしてきたが、厳しい状況となった。同業他社への技術提供のライセンス料も見込んでいたが、業界全体の不況で見送った。キャロン氏は「深くおわび申し上げる」と頭を下げ、経営陣の報酬減額を検討しているとした。

 同社は東芝、日立製作所、ソニーの中小型液晶事業を統合して12年に発足した。以来、ディスプレー専業を貫いてきたが、海外企業の参入で過当競争に陥り、収益性は低い状態が続く。キャロン氏は「慢性的な赤字産業だ」とした上で、「最後までやり切る勇気と思ってきたが、やめる勇気、変える勇気、方針転換する勇気もある」と述べた。

 タッチパネルなどのセンサー…

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