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海底探知機能があるタレスのソナー「CAPTAS-2」=2024年9月18日、仏南部ジェムノス、牛尾梓撮影
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 ロシアによるウクライナ全面侵攻をきっかけに、防衛装備品の米国依存を目の当たりにした欧州。防衛費の増額を再三、欧州に求めてきたトランプ氏が米大統領に返り咲くことで、域内で需要を満たせる態勢づくりがさらに急務となった。一方で、これをチャンスと見る向きも出ている。

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 南仏マルセイユにほど近い町ジェムノス。プロバンス地方のリゾート地としても人気があるこの町で、厳重なゲートを通ると、フランスの防衛機器大手タレスのソナー開発拠点があった。

 ソナーとは、音波を使って水中にある物体を検出し、位置を特定する技術のこと。近年では、人工知能(AI)やドローン(無人機)と組み合わせることで潜水艦探知はもとより、沿岸部や水上の偵察、通常時と比較した異常事態の検知で欠かせない技術になっている。

「ハイブリッド攻撃」に警戒も、不十分な受け皿

 海底ケーブルの切断のような「攻撃」に対しても威力を発揮する。海底には、通信ケーブルなどが無数に敷設され、安全保障上の重要なインフラの一つになっている。

 ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中で、北欧が面するバルト海では不可解な断線やロシア船の不審な巡航が相次ぐ。北大西洋条約機構(NATO)が昨年、海底インフラを守るための新組織を設立するなど、欧州社会の不安定化を狙った「ハイブリッド攻撃」への備えが重要になっている。

 ただ、タレスの受注態勢は万全ではない。ソナー事業を含む同社の防衛・セキュリティー部門で、納品が間に合わなかった受注の額は2023年12月末時点で過去最高の約352億ユーロ(約5兆6600億円)に上り、同部門の年間売上高の約4倍にもなる。海軍防衛部門のエリック・シャペロン顧問は「欧州の防衛産業が協調して結束すれば、米国につけられた10~20年分の差は埋められるはずだ。それが実現できるかは、戦略的自律にかかっているかもしれない」という。

 戦略的自律とは、欧州として…

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