
この冬、福島県の浜通りにインド人学生5人が3週間滞在した。Uターンしてワイナリーを立ち上げた男性や特産づくりに励む農家ら、東京電力福島第一原発の事故後にこの地で挑戦する人の話を聞いた。
「困難を乗り越えようとする地域のレジリエンス(回復力)を知れた」。学生らの言葉を聞き、「福島の未来を考え、発信してくれる」と期待を寄せるのは、インド出身でこのツアーの企画に携わったスワスティカ・ハルシュ・ジャジュさん(28)だ。
居住人口が200人に満たない福島県双葉町の観光関連の法人で働く。住まいは隣接する浪江町のアパート。どちらの町も原発事故で一時、全住民が避難を余儀なくされ、復興は道半ばだ。
ジャジュさんが初めて浜通りを訪れたのは来日4年目だった2021年。東北大学の修士課程で言語学を学んでいるとき、まち歩きツアーに参加した。双葉町はまだ居住エリアの避難指示が解除されておらず、町で暮らす人はゼロだった。
案内人の住民男性から聞いた原発事故前と事故後のエピソードが胸を打った。
駅前にあったファストフード…