「約束」を破ったのはどちらか。そもそも「約束」は成立していたのか――。党首間の合意は、新たな連立政権に向けた予行演習ともみられたが、感情的なしこりを残す決裂で終わった。
通常国会が事実上の閉幕した21日、敵であろうが味方であろうが、当然のように行われてきた首相のあいさつを回りを日本維新の会は拒んだ。馬場伸幸代表は会見で、予算や法律が成立したり、国会が閉じたりする際に行われる首相や閣僚のあいさつ回りに以前から否定的だったとして「儀礼的なものはやめるべきだ」と述べにとどめたが、維新と会派を組み、同じくあいさつを拒否した「教育無償化を実現する会」の前原誠司代表は、事の経緯をあけすけに語った上で、こう言った。「木原さんは逃げ回るだけで、おわびの電話の一つもない。1本でも電話があって『すみませんでした』と謝っていただけたら、総理のあいさつを受けないことはなかった」
木原さんとは岸田文雄首相の最側近の木原誠二・自民党幹事長代理のこと。木原氏が舞台回しになったゴタゴタ劇のきっかけは5月29日だった。自民の裏金事件を受けた改正政治資金規正法の衆院通過を前に、政治資金パーティー券購入者の基準額「5万円超」にこだわる公明が態度を硬化させ、首相は公明が賛成に転じない可能性を危惧。いったん取りやめた維新との協議を再開するよう、木原氏に命じた。
「自公維への予行演習みたいなもの」
木原氏は維新の遠藤敬国対委員長に電話をかけた。「もう一度、維新とリスタートさせてもらえないか」。遠藤氏はこう告げた。「もう終わってるやんか。あとは自民が丸のみするしかないで」
翌30日、自民は、維新がか…