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大多喜高校と長生高校の美術部による合同作品展=2024年11月2日、千葉県いすみ市弥正、中野渉撮影
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 千葉県立の大多喜高校(大多喜町)と長生高校(茂原市)の美術部による合同作品展「いつもの放課後、美術室で」が、いすみ市弥正の「田園の美術館」(市郷土資料館)で開かれている。元教諭の稲邑(いなむら)嘉裕さん(63)が両校で美術部顧問を務めたことから実現した。12月22日まで。

 在校生だけではなく、2016年以降の卒業生が在学中に描いた作品も含まれている。

 大多喜高美術部は同館で3回、長生高美術部は1回、作品展を開いたことがある。稲邑さんが「運動部などは大会や交流試合があるが、美術部も他校と交流できればいい」と両校に打診。コロナ禍でこれまで発表の場が限られた卒業生も多く、卒業生も含めた合同展を考えた。結果的に、在校生と卒業生による交流の場も持たれた。

 大多喜高3年で元美術部長の磯野つむぎさん(18)によると、部員らはほぼ毎日、放課後に美術室に集まって絵を描く。出展したのは「Where is heaven」という作品で、人を天使に見立て、空想を加えて描いた。作品展について「個性や熱意を感じ取ってもらえたら」と強調する。

 動物好きという同校3年の高梨恋衣(れい)さん(17)は、睦沢町に実在するヤギを題材に3カ月かけて手がけた「ぼくヤギです。」を出展した。作品展については「絵から一人ひとりのこだわりを感じてほしい」と話す。

 今回は約70点が展示されている。日々の生活の場や身近な人たちをモチーフにした油彩画が中心で、みずみずしい感性とパワーがあふれている。50号から100号までの大作が多くを占め、見応えがある。

 稲邑さんは「みんな頑張っていい作品を描いてくれている。生徒たちが、高校生活で悩んだり考えたりしたものが作品の中に残されている。その集大成を味わってもらえたら」と話す。

 開館時間は午前9時~午後4時半。月曜休館。入館無料。問い合わせは同館(0470・86・3708)へ。(中野渉)

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